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治療・予防歯科
日本の水道水中フッ化物濃度の高低が子供のう蝕の多さに関連
こんにちは、水野歯科クリニックです。 前回、フッ素とフッ化物の違いをブログに書かせていただきました。 今回はそのフッ化物の応用について説明します。 フッ化物応用は主に 1. 全身応用 経口的に摂取され消化管で吸収されたフッ化物が、歯の形成期にエナメル質に取り込まれ、むし歯抵抗性の高い歯が形成されます。同時に萌出後の歯の表面にも直接フッ化物が作用します。WF・フッ化物錠剤・フッ化物添加食塩・フッ化物添加ミルクが含まれます。 2. 局所応用 萌出後の歯面に直接フッ化物を作用させる方法です。フッ化物歯面塗布・フッ化物洗口・フッ化物配合歯磨剤が含まれます。 の二種類があるのですが、日本では局所応用が行われています。 フッ化物の応用 E-ヘルスネット 出典元:厚生労働省 E-ヘルスネット 日本では全身応用の一つである水道水フロリデーションは実施されていませんが、水道水にはフッ化物がもともと含まれており、水道法の上限の範囲で地域によりばらつきがあります。 水道水フロリデーションとは、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することによってむし歯を予防する方法のことです。 今回、東京医科歯科大学の研究により、 水道法の上限の範囲で、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm高くなるごとに、う蝕治療経験を有する子どもが3%少なくなることがわかりました。 水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm高いと子どものう蝕が3%少ない。 出典元: 東京医科歯科大学2023.5.24 https://www.tmd.ac.jp/press-release/20230524-1/ 日本においては、1952年から1965年まで京都市山科地区で水道水フロリデーションが試験研究として行われました。その他に沖縄県(1957~72年)および三重県朝日町(1967~71年)でも実施されていたことがあります。残念なことに現在ではいずれも中止されているので今回の研究は少し珍しいものだと思いました。 ちなみに北名古屋市の令和5年度の水質検査結果です。 https://www.kn-suido.jp/file/c1_suisitu_kekka_r5.pdf 出典元:北名古屋市資料より フツ素及びその化合物 水道法基準0.8mg/l 検査場所 北名古屋市中之郷0.06 北名古屋市高田寺0.06 北名古屋市熊之庄0.09 豊山町豊場0.08 ppmとmg/Lはほぼ同義語です。 濃度を示す単位でppmがありますが、これはmg/Lと同じ意味ですか?出典元:ミヤマ株式会社環境分析&リサーチより http://www.miyama-analysis.net/law/2020/06/no21.php 少し少ないように思いました。 お隣の一宮市では 佐千原浄水場 0.11 常念公園(大江) 0.11 今伊勢中保育園 (水質監視局)0.11 弁天公園(神山) 0.08 北方小学校(水質監視局)0.11 定水寺児童遊園 0.09 出典元:令和5年4月 一宮市水質検査結果より https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/111/2304.pdf 岩倉市では 第1水源 辻田公園 0.13 第2水源 自然生態園 0.13 第3水源 大市場児童 0.12 八剱町水源 八剱中児童0.07 東町水源 白山公園 0.13 野寄町水源 野寄児童 0.15 曽野町西水源 竹林公園0.18 曽野町東水源 第七児童館0.17 岩倉団地 団地21棟 0.14 出典元:令和4年度 岩倉市水質検査結果より https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000000/281/R4kensakekka.pdf この調査結果を見て確かに水道水に含まれるフッ化物に二倍近い差があることがわかりました。 しかしながら今回の結果と先ほどの研究結果が完全に一致するとも思えないです。 今後とも研究を続けてほしいと思うことと共に、愛知県でもこのような調査をしていただきたいと思います。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
CTについて
こんにちは、水野歯科クリニックです。 今回はCT写真についてご説明します。 よく言われる歯科用 CT(CBCt)とはなにか? X線で撮影する画像撮影のことですが、通常のレントゲンと違い 3次元で精密に撮影できるため、情報量が圧倒的に違います。 通常のレントゲンでは何もないように見受けられていても、 CTの画像を見ると実は歯が割れていたり、歯の根の治療が不十分だったりと様々なことがわかります。 もちろんほかのことにも使うことができ、 当院ではインプラント治療はもちろんのこと 親知らずの抜歯 自家歯牙移植 治りが悪い歯の根の治療の確認 など様々なことに使用しています。 医科用CTと歯科用CTの大きな違いは撮影範囲と被ばく量とその大きさにあります。 細かい説明をすると 医科用CTはファンビームによるエックス線で束が扇形(ファン)に照射されます。 撮影範囲は頭から足先までと幅広く任意の部位を撮影できます それに対して、 歯科用CTはコーンビームによるエックス線で束が円錐形(コーン)に照射されます。 撮影範囲はもちろん頭から顎までしか撮影できません。 撮影方式の違いにより、ファンビームは基本1周の撮影で1枚の画像しか撮影できませんが、コーンビームは1周の撮影で 数百枚の画像が撮影できます。 コーンビーム方式のおかげで、低被曝、短時間で細かいスライス画像取得が可能となります。 しかしながら、歯科用CTの普及率は20%台とまだまだ普及していません。 また、CTがあっても、 使い方がわからない。 CTの画像読影ができない。 古くて画像が粗くきちんとした診断ができないといった歯科医師及び歯科医院が多数あります。 何かあった場合、日ごろからCTを使い慣れている歯科医院での受診をお勧めします。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之 歯科用CT認定医
フッ素及びフッ化物の違いについて
こんにちは、水野歯科クリニックです。 みなさん、フッ素とフッ化物の違いってご存じですか? 巷でよく言われている フッ素は猛毒 これ、実は正解です。 ただし、歯科医院で塗られているフッ素はあれはフッ素ではなくフッ化物と呼ばれるものです。 どういうことかというと フッ素という呼称は原子番号9番の元素及び単体のフッ素分子のことです。 元素単体のフッ素は確かに猛毒です。しかし元素単体のフッ素はとても強い酸化作用があり基本的に単体ではほとんど存在できません。つまり他の元素を巻き込んでくっついてしまいます。 このように2つ以上の元素が結びついてできた物資を化合物といいます。その中ででもフッ素を含む化合物のことをフッ化物と呼んでいます。 そして、実はこのフッ化物こそが私たち歯科医院で使用する“フッ素”の真の姿なのです。 一般の方にわかりやすくフッ素塗布と歯科医療従事者は呼んでいますが フッ素とフッ化物は大きく違います。 歯科医院で使われるフッ化物は主にフッ化ナトリウムで その作用は ①歯の表面を強くする ②歯の再石灰化を促す ことです。 現在市販されている歯磨剤の90%以上にフッ化物がが入っていますが、年齢により推奨されている濃度が異なります。 6ヶ月(歯の萌出)~2歳 使用量 切った爪程度の少量 500~1,000ppm 仕上げみがき時に保護者が行う。 3~5歳 使用量 5mm以下 500~1,000ppm 就寝前が効果的。 歯みがき後5~10mlの水で1回程度洗口。 6~14歳 使用量 1cm程度 1,000ppm 就寝前が効果的。 歯みがき後10~15mlの水で1回程度洗口。 15歳以上~成人 使用量 1~2cm程度(約1g) 1,000~1,500ppm 同上 ※フッ化物濃度1,000~1,500ppmの歯みがき剤は6歳未満の子どもには使用を控えましょう。 厚生労働省 ライオン歯科衛生研究所 歯科医院で使用するフッ素濃度は9,000~123,000ppmです。 高濃度のフッ化物を使用できるのは歯科医師及び歯科衛生士のみですので、より むし歯予防に力を入れたいという方は歯科医院でのフッ化物塗布をオススメします。 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
歯と口の健康週間 6/4-10
みなさん、こんにちは水野歯科クリニックです。 6/4-10は、歯と口の健康週間 ということで、6/8(木)に歯と口の健康センターが開催されます。 当院院長も午前中に保育園でのフッ化物塗布、午後より特別養護老人ホームでの歯科検診を行います。 もうだいぶ昔のことになりますが、歯と口の健康週間という名称は 以前に1928年(昭和3年)から1938年(昭和13年)まで日本歯科医師会が、「6(む)4(し)」にちなんで6月4日に「虫歯予防デー」を実施していました。 その後1939年(昭和14年)から1941年(昭和16年)まで「護歯日」、1942年(昭和17年)に「健民ムシ歯予防運動」としていましたが、1943年から1947年までは中止されていました。 しかし、1949年(昭和24年)、これを復活させる形で「口腔衛生週間」が制定されました。1952年(昭和27年)に「口腔衛生強調運動」、1956年(昭和31年)に再度「口腔衛生週間」に名称を変更し、1958年(昭和33年)から2012年(平成24年)まで「歯の衛生週間」、そして2013年(平成25年)より「歯と口の健康週間」になっています。 ちなみに私は歯の衛生週間という名称で小学校の時に学校で歯磨き等をみんなでした記憶があります。 この歯と口の健康週間の目的は この週間は、歯と口の健康に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見及び早期治療等を徹底することにより歯の寿命を延ばし、もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的とする。 だそうです。 日本歯科医師会 口の中はすべて自分で見ることはできません。 定期的に第三者のプロフェッショナル(歯科医師・歯科衛生士)にみてもらうことが重要です。 当院の治療方針の一つに 早期発見・早期治療 があります。 みなさん、これを機会に歯科医院に足を運んでみてはいかがでしょうか?
インプラントと自家歯牙移植について
〈インプラント治療について〉 当院のインプラント手術の特徴としては 手術用ガイド(下の写真の半透明のマウスピースのようなもの)を使った 100%ガイデットサージェリーで手術を行うことです。 手術用ガイドを使ったガイデットサージェリーとは何か? 下の写真は、残っている歯や歯茎の上に半透明の手術用ガイドを乗せ、インプラントを入れているイメージ図です。 インプラント体のうちの人工歯根(フィクスチャー)は歯の頭の部分(上部構造物)とほぼ一直線に並ぶことが理想です。 よって、インプラント手術をする前から噛み合わせのことを考慮しなければなりません。 また、インプラントを入れる骨の奥には上顎には鼻の穴の空洞(上顎洞)、下顎には大きい神経と血管(下歯槽管)などがあります。 顎の高さや幅など様々なことを考えながらインプラントを三次元的に理想の位置に入れなければなりません。 そこで、三次元的に骨の状態を撮影できるCTとIOS(口腔内スキャナー)を利用してコンピューター上で一番理想的な位置角度でインプラントを入れるシミュレーションを行います。 これにより一番理想とされる位置を設定し、そこにしかインプラントを入れることができないような道具を使う。 それが手術用ガイドを使ったガイデットサージェリーです。 従来のインプラント治療は「手探りしながら経験だけで、何となくこの辺にインプラント入れればいいだろう。あとは歯科技工士さんが、かぶせ物作るからそこに任せたよ。」 という時代でした。 しかし、従来法では重篤な有害事象や嚙み合わせがあわないことが多々あり、手術前にしっかりとシミュレーションを行うことの重要性が叫ばれてきました。 その中で今、デジタルの恩恵を一身に受けているのがインプラント治療におけるガイデットサージェリーです。 この道具を使えば歯茎を切らずにインプラントを入れることができ(一部骨を作る手術を併用する場合を除く)手術時の傷が小さいため、痛みも少なく安全かつ手術時間も格段に短くなりました。 ただ、この道具は他院では、歯科技工士さんに製作を依頼することが多く技工料金が2万円~5万円ほどかかります。 水野歯科クリニックの技工室には、手術用ガイドを作製するソフトと3Dプリンターがあるので他の歯科医院よりもインプラント治療の金額を安く設定しております。 もちろん難しい場合は歯科技工士さんと相談して手術用ガイドを作る場合もあります。 〈自家歯牙移植について〉 この方法を応用して自家歯牙移植も行っております。 昔ながらの方法よりも格段に手術時間も短くなります。 手術用ガイドを使うことによって、理想的な位置に早くドナー歯を移植することができ、10年後の歯の生存率に左右されるといわれるドナー歯の口腔外暴露時間が圧倒的に短くなっております。 自家歯牙移植について ←クリックするとブログに移動します。 気になる方は、お気軽に当院スタッフまでお尋ねください。 お待ちしております。(^^)/ 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
インプラントについての考え方
当院のインプラントについての考え方をご説明します。 当院では基本的に保険診療を主軸と考えています。 歯がダメになった場合の治療の選択肢として よく言われるのが 1.ブリッジ 2.入れ歯 3.インプラント 4.自家歯牙移植 どれにしましょうか? とお話しするケースが多いです。 ただどの治療についても長所と短所があります。 ほとんどの方が保険診療を望まれていますが そのなかで今回はインプラントを勧めるケースについてお話しします。 どのようなケースかというと、ダメになった歯の隣の歯が一回も削っていない、もしくはほとんど治療をしていない歯があるケースです。 予防歯科の概念のひとつに、なるべく歯を削らない・最小限の治療介入 というものがあります。 ブリッジや部分入れ歯では、周りの健康な歯を削ったり負担をかけたりすることになります。 虫歯にもなっていない歯を削りたくないので、できればインプラントのほうがいいですよ。 ということをお伝えする場合があります。 ダメになった歯の隣の歯がすでに根の治療をされていたり、被せ物になっている場合はブリッジや入れ歯を勧めます。 もしくは保険診療で自家歯牙移植ができるケースはそのこともお伝えしますし、自費の移植のケースも説明したりします。 治療の選択肢はたくさんあります。 その中でどの治療法を選ぶのかは患者さんだと思います。 それを患者さんの 歯に対する価値観 経済的なもの 家庭や仕事環境 通院のしやすさ などすべてを考慮して歯科医師と患者さんと治療法を模索する。 それが私の考えるインフォームドコンセントです。 一方的に 治療法がこれしかない。 これ以外はできません。 それはおかしいと思います。 医科において、セカンドオピニオンの際ほかの選択肢を出せる先生もいるので、治療法は一つではないと思います。 気になることがある方は、お気軽に相談してください。 水野歯科クリニック 院長 水野敦之