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治療・予防歯科
8020(はちまるにいまる)達成者は2人に1人以上 過去1年間に歯科検診を受診した人は約6割
こんにちは水野歯科クリニックです。 先月の話ですが 厚生労働省は6月29日、「令和4年歯科疾患実態調査」の結果(概要版)を取りまとめ、公表しました。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33814.html https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001112405.pdf 出典元:厚生労働省 この歯科疾患実態調査というものは 国民生活基礎調査の際に一緒に調べられるもので <調査期間>令和4年11月~12月 <調査対象>令和4年国民生活基礎調査で設定された地区(令和2年国勢調査の調査区から層化無作為抽出した全国5,530地区)から抽出した300地区内の世帯の満1歳以上の世帯員(被調査者数は2,709人) <調査方法>調査対象地区内の会場で、歯科医師が調査対象者の口腔診査を実施 この中から主な結果として挙げられるのが ①虫歯を持つ割合 5歳以上10歳未満では処置歯まだは未処置の虫歯を持つ者の割合は3%を下まわったが、25歳以上では80%以上と高く、特に45歳以上50歳未満、55歳以上60歳未満、65歳以上70歳未満では100%に近かった。 ②現在歯の状況(8020達成者等) 8020達成者(75歳以上85歳未満の数値から推計)は51.6%で、前回平成28年の調査結果(51.2%)と同程度 また男女別に見た20歯以上歯を有する者の割合及び1人平均現在歯数は、65歳以上では女性のほうが高い数値となっている。 ③歯肉の状況 4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、全体では47.9%で、高齢になるにつれ増加傾向 ⑤歯をみがく頻度 1 歳以上の者では、毎日歯をみがく者の割合は 97.4%であった。毎日2回以上歯をみがく者の割合は増加を続けており、令和4年では79.2%であった。 ⑥歯科検診の受診状況 この1年間に歯科検診を受けましたかという質問に「受けた」と答えた者の割合は、全体で58.0%であった。 男性では30歳から50歳未満の年齢階級において、歯科検診を受診している者が低い傾向にあった。 ⑦矯正歯科治療の経験 矯正歯科の経験がある者の割合は、全体で7.7%であった。また、50歳未満では2割近くが経験があり、特に10歳以上40歳未満の年齢階級で高く、男女別では女性において高い傾向を示した。 2022年度の政府発表の経済財政運営に関する基本方針、いわゆる「骨太の方針」のなかで、年代関係なく国民全員が定期的に歯科健診を受けることを目標とする、「国民皆歯科健診」制度の検討が発表されています。 現在1歳半、3歳児の健診は市町村の義務、小学生から高校生の歯科健診は学校の義務です。 しかし、大人の歯科健診は義務ではなかったのですが、政府もようやく重い腰を上げたようです。 北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
保険で使用できる白いプラスチック(CAD/CAM冠)及びセラミックについて
こんにちは、水野歯科クリニックです。 前回、保険診療でよく使われる金属について書かせていただきました。 今回は白い被せ物(保険診療・自費診療)についてお伝えいたします。 前回のお話からの続きになりますが、当院の保険診療の場合 1本だけの被せ物(クラウン・インレー)の場合は 金属ではなく保険で使用できる白いプラスチック(CAD/CAM冠)を使うことが多いです。 (ただし、噛みしめ食いしばりが強い方や適応部位でない方を除く) さて、 保険診療の白い被せ物よりも自費診療のセラミック(ジルコニア)のほうが良いのでしょうか? 私はそうは思いません。 保険診療の被せ物と自費診療の被せ物の長期経過の比較をした研究はありません。 もちろん、長期経過による経年劣化(色の変化)はおきます。 保険診療で使われるCAD/CAM冠は主成分はレジンなので水を吸うため どうしても着色が起きやすくなります。 それがセラミックだと完全な焼き物なのでほとんど水を吸わないので色の変化があまり起きません。 どのくらいで変化があるか? ということを聞かれることもありますが、ホワイトニングと同じで その方がどういう食生活をされているか? 喫煙者か非喫煙者か? コーヒーな紅茶など着色成分を多く含むものを頻回に摂取するか? どの程度の色の変化までを許容できるか? など個人差が大きいためわかりません。 しかし、 金属と比較して 金属の被せものは錆ができるから自費にしましょう 錆がついているので被せ物をやりかえましょう この言葉で患者さんから自費診療を契約したり、虫歯になってもいない歯を削る歯科医師を多数見てきました。 専門家の医療従事者が患者さんに嘘を言ってはいけないと思います。 ただ、 見た目をもっと良くしたいという、ご要望については審美治療となるので自費診療(自由診療)となります。 お口の中で気になることがあればいつでもご相談ください。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
金パラって何? 被せ物について(金と銀)
みなさんこんにちは、 水野歯科クリニックです。 今回は被せ物についてお話しします。 使用金属:金パラ という名称は正確には歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金の略称です。 歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金の組成・成分としては、金12%、パラジウム20%、とJIS規格(JIS適合品)で定められており、 銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなど数%が含まれています。 メーカーによって多少の成分バランス・液相点・硬度など異なりますが、金とパラジウムの含有率に関しては、どこのメーカーでも同一規格となります。 JPメタル [永久保存版] 金パラ(キンパラ)とは何か?基礎の基礎を改めて理解する より https://kinpara-jpmetal.com/blog/aboutkinpara/ 金パラは、写真のように銀が半分以上含まれているので、見た目は銀歯に見えます。 また、日本の保険診療で使用できる被せ物に対しての金属は、 歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金 銀合金 純チタン2種 この3種類のみになります。 いずれも銀色に見え、熟練した歯科医師でも削ってみた感触で金属の違いを判別するぐらいです。 こちらの写真のように金を使用した治療の詰め物の色は少し黄色がかっています。 (金を使用する治療は自費診療です) 当院では基本的に銀合金は使用いたしません。 理由は、 ①歯や歯肉に色移りがしやすい。 ②金属の変色が起きやすい。 ③強度が低くもろい 以上のことが挙げられます。 https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/wm005_metal/#internal08 ヤマキンニュース【歯科用合金Q&A】銀合金と金銀パラジウム合金について より もちろん銀合金のほうが安いですが、当院では金パラやチタンを使用しております。 金パラについては海外の安いものではなく、 当院では安定した品質で出荷する信頼のあるメーカーのものを購入して使用しております。 株式会社ジーシー(GC)(GCキャストウェル M.C.12%) 当院では通常、金パラやチタンを使用しておりますが、 少しでも安く治療をしてほしい!銀合金をご希望される患者様は、ご相談ください。 窓口で、おおよそ数百円~千円ほどの差になります。(3割負担の方の場合) 保険で使用できる白いプラスチック(CAD/CAM冠)のブログも後日掲載予定です。 分からないことがあればいつでも、お気軽にご相談ください。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
日本の水道水中フッ化物濃度の高低が子供のう蝕の多さに関連
こんにちは、水野歯科クリニックです。 前回、フッ素とフッ化物の違いをブログに書かせていただきました。 今回はそのフッ化物の応用について説明します。 フッ化物応用は主に 1. 全身応用 経口的に摂取され消化管で吸収されたフッ化物が、歯の形成期にエナメル質に取り込まれ、むし歯抵抗性の高い歯が形成されます。同時に萌出後の歯の表面にも直接フッ化物が作用します。WF・フッ化物錠剤・フッ化物添加食塩・フッ化物添加ミルクが含まれます。 2. 局所応用 萌出後の歯面に直接フッ化物を作用させる方法です。フッ化物歯面塗布・フッ化物洗口・フッ化物配合歯磨剤が含まれます。 の二種類があるのですが、日本では局所応用が行われています。 フッ化物の応用 E-ヘルスネット 出典元:厚生労働省 E-ヘルスネット 日本では全身応用の一つである水道水フロリデーションは実施されていませんが、水道水にはフッ化物がもともと含まれており、水道法の上限の範囲で地域によりばらつきがあります。 水道水フロリデーションとは、飲料水中に存在するフッ化物の量を適正な濃度に調整し、その飲料水を摂取することによってむし歯を予防する方法のことです。 今回、東京医科歯科大学の研究により、 水道法の上限の範囲で、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm高くなるごとに、う蝕治療経験を有する子どもが3%少なくなることがわかりました。 水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm高いと子どものう蝕が3%少ない。 出典元: 東京医科歯科大学2023.5.24 https://www.tmd.ac.jp/press-release/20230524-1/ 日本においては、1952年から1965年まで京都市山科地区で水道水フロリデーションが試験研究として行われました。その他に沖縄県(1957~72年)および三重県朝日町(1967~71年)でも実施されていたことがあります。残念なことに現在ではいずれも中止されているので今回の研究は少し珍しいものだと思いました。 ちなみに北名古屋市の令和5年度の水質検査結果です。 https://www.kn-suido.jp/file/c1_suisitu_kekka_r5.pdf 出典元:北名古屋市資料より フツ素及びその化合物 水道法基準0.8mg/l 検査場所 北名古屋市中之郷0.06 北名古屋市高田寺0.06 北名古屋市熊之庄0.09 豊山町豊場0.08 ppmとmg/Lはほぼ同義語です。 濃度を示す単位でppmがありますが、これはmg/Lと同じ意味ですか?出典元:ミヤマ株式会社環境分析&リサーチより http://www.miyama-analysis.net/law/2020/06/no21.php 少し少ないように思いました。 お隣の一宮市では 佐千原浄水場 0.11 常念公園(大江) 0.11 今伊勢中保育園 (水質監視局)0.11 弁天公園(神山) 0.08 北方小学校(水質監視局)0.11 定水寺児童遊園 0.09 出典元:令和5年4月 一宮市水質検査結果より https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/111/2304.pdf 岩倉市では 第1水源 辻田公園 0.13 第2水源 自然生態園 0.13 第3水源 大市場児童 0.12 八剱町水源 八剱中児童0.07 東町水源 白山公園 0.13 野寄町水源 野寄児童 0.15 曽野町西水源 竹林公園0.18 曽野町東水源 第七児童館0.17 岩倉団地 団地21棟 0.14 出典元:令和4年度 岩倉市水質検査結果より https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000000/281/R4kensakekka.pdf この調査結果を見て確かに水道水に含まれるフッ化物に二倍近い差があることがわかりました。 しかしながら今回の結果と先ほどの研究結果が完全に一致するとも思えないです。 今後とも研究を続けてほしいと思うことと共に、愛知県でもこのような調査をしていただきたいと思います。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之
CTについて
こんにちは、水野歯科クリニックです。 今回はCT写真についてご説明します。 よく言われる歯科用 CT(CBCt)とはなにか? X線で撮影する画像撮影のことですが、通常のレントゲンと違い 3次元で精密に撮影できるため、情報量が圧倒的に違います。 通常のレントゲンでは何もないように見受けられていても、 CTの画像を見ると実は歯が割れていたり、歯の根の治療が不十分だったりと様々なことがわかります。 もちろんほかのことにも使うことができ、 当院ではインプラント治療はもちろんのこと 親知らずの抜歯 自家歯牙移植 治りが悪い歯の根の治療の確認 など様々なことに使用しています。 医科用CTと歯科用CTの大きな違いは撮影範囲と被ばく量とその大きさにあります。 細かい説明をすると 医科用CTはファンビームによるエックス線で束が扇形(ファン)に照射されます。 撮影範囲は頭から足先までと幅広く任意の部位を撮影できます それに対して、 歯科用CTはコーンビームによるエックス線で束が円錐形(コーン)に照射されます。 撮影範囲はもちろん頭から顎までしか撮影できません。 撮影方式の違いにより、ファンビームは基本1周の撮影で1枚の画像しか撮影できませんが、コーンビームは1周の撮影で 数百枚の画像が撮影できます。 コーンビーム方式のおかげで、低被曝、短時間で細かいスライス画像取得が可能となります。 しかしながら、歯科用CTの普及率は20%台とまだまだ普及していません。 また、CTがあっても、 使い方がわからない。 CTの画像読影ができない。 古くて画像が粗くきちんとした診断ができないといった歯科医師及び歯科医院が多数あります。 何かあった場合、日ごろからCTを使い慣れている歯科医院での受診をお勧めします。 愛知県北名古屋市西之保犬井190 水野歯科クリニック 院長 水野敦之 歯科用CT認定医
フッ素及びフッ化物の違いについて
こんにちは、水野歯科クリニックです。 みなさん、フッ素とフッ化物の違いってご存じですか? 巷でよく言われている フッ素は猛毒 これ、実は正解です。 ただし、歯科医院で塗られているフッ素はあれはフッ素ではなくフッ化物と呼ばれるものです。 どういうことかというと フッ素という呼称は原子番号9番の元素及び単体のフッ素分子のことです。 元素単体のフッ素は確かに猛毒です。しかし元素単体のフッ素はとても強い酸化作用があり基本的に単体ではほとんど存在できません。つまり他の元素を巻き込んでくっついてしまいます。 このように2つ以上の元素が結びついてできた物資を化合物といいます。その中ででもフッ素を含む化合物のことをフッ化物と呼んでいます。 そして、実はこのフッ化物こそが私たち歯科医院で使用する“フッ素”の真の姿なのです。 一般の方にわかりやすくフッ素塗布と歯科医療従事者は呼んでいますが フッ素とフッ化物は大きく違います。 歯科医院で使われるフッ化物は主にフッ化ナトリウムで その作用は ①歯の表面を強くする ②歯の再石灰化を促す ことです。 現在市販されている歯磨剤の90%以上にフッ化物がが入っていますが、年齢により推奨されている濃度が異なります。 6ヶ月(歯の萌出)~2歳 使用量 切った爪程度の少量 500~1,000ppm 仕上げみがき時に保護者が行う。 3~5歳 使用量 5mm以下 500~1,000ppm 就寝前が効果的。 歯みがき後5~10mlの水で1回程度洗口。 6~14歳 使用量 1cm程度 1,000ppm 就寝前が効果的。 歯みがき後10~15mlの水で1回程度洗口。 15歳以上~成人 使用量 1~2cm程度(約1g) 1,000~1,500ppm 同上 ※フッ化物濃度1,000~1,500ppmの歯みがき剤は6歳未満の子どもには使用を控えましょう。 厚生労働省 ライオン歯科衛生研究所 歯科医院で使用するフッ素濃度は9,000~123,000ppmです。 高濃度のフッ化物を使用できるのは歯科医師及び歯科衛生士のみですので、より むし歯予防に力を入れたいという方は歯科医院でのフッ化物塗布をオススメします。 水野歯科クリニック 院長 水野敦之