Blog ブログ

タグ

#歯抜けた

202302/11

治療・予防歯科

歯周病で抜けた歯は戻すことができませんが スポーツや転倒など偶発的な事故による欠けたり抜けた歯は元に戻せることが多いことは皆さんご存じですか? 中学生や高校生で部活動中に自分の歯が相手の頭にぶつかって抜けたり 道具や器具がぶつかって欠けたり 大人の方でも何かの拍子につまづいて歯に損傷を受ける方はかなりいます。 昔は抜けた歯はそのまま捨てられたり、欠けた歯も欠けた部分を使わずプラスチックで修復することが多く見受けられました。 しかし、抜けた歯は適切に処置をすれば元に戻すことができますし 欠けた歯もプラスチックによる修復よりも色や歯の形の変化が少なく修復することが可能です。 その適切な方法が 牛乳に抜けた歯を漬けて歯医者に行く! ということです。 なぜ水道水ではだめかというと牛乳がお口の中の環境に近い浸透圧だからです。 水道水の浸透圧はほぼゼロに近いことから、口腔内の浸透圧より低くなっています。 水分は浸透圧が低い方から高い方へと移動するため、水道水に浸ける、歯根面に存在している歯根膜細胞が膨張することとなります。 その結果、歯根膜細胞が死んでしまい、脱臼した歯を元に戻すことが困難となるのです。 歯根膜細胞が歯の再植の鍵を握る 抜けた歯を元の位置に戻せるかどうかは、歯根膜細胞の状態に左右されます。 歯が脱臼した際に、歯ブラシなどでゴシゴシ洗ったり、水道水に浸けたりすると歯根膜細胞が死んでしまいます。 ですから、外傷などによって抜けた時には、歯根膜細胞をいかにして生かすかを最優先に考える必要があります。 なので体液と浸透圧がほぼ同じ牛乳は保存液として最適といえるのです。 もちろん歯牙保存液がある場合はそれ使ってもかまいませんが、 歯牙保存液よりも牛乳のほうが長く細胞が生存していた というデータもあるので、コンビニエンスストアが多数あるこの日本においては手軽に手に入る牛乳に漬けることこともお勧めします。 各種歯牙保存液が培養線維芽細胞に及ぼす影響 牛乳も保存液も手元にない場合は、お口の中に抜けた歯を入れておいて、できるだけ早く歯医者さんを受診してください。 ただ、歯科医師でも抜けた歯をすぐに戻せることを知らない方がおられますので 県外で事故に合われた方は受診する前に歯科医院に抜けた歯を戻したことがあるかをお尋ねしたほうが良いかもしれません。 ちなみに、抜けた歯を水道水に漬けておくと2時間で33.2%の細胞生存率になるそうですが 先ほどの研究結果によると牛乳であれば48時間でも高い細胞生存率を保っていたそうですので もし県外で事故に合われた方でも当院にお越しいただければ最善の手を尽くさせていただきます。 また歯の一部分が欠けた場合 プラスチックで修復するよりも欠けた歯を接着するほうが周りの歯との色の変化が少なくなりますし自然な形で歯を修復することができます。 もちろんこの場合でも乾燥してしまうとはが白っぽくなってしまいますので牛乳に漬けて乾燥しないようにしていただいたほうがよいです。 どうしてもプラスチックで修復で修復すると経年変化で黄色や茶色になりがちですが自分の歯ならばその変化は周りにより近くなります。 まとめ このように、何らかのアクシデントで脱臼した歯は、元に戻せる可能性がありますので、牛乳や保存液に浸けるようにしましょう。 何より大切なのは、1分でも早く歯医者さんに診てもらうことです。 天然歯は一度失うともう二度と元に戻らない組織なので、可能な限り保存に努めることが大切です。 水野歯科クリニック 院長 水野敦之