Blog ブログ

乳児の虫歯予防について

乳児の虫歯予防について

皆さんこんにちは、水野歯科クリニックです。
最近お母さん方から子供の虫歯について聞かれることがあります。

食器の使いまわしや口移しで子供に虫歯が移る。

このようなことを聞いたことがありますか?

私も7-8年前のお話ですが
年齢を重ねてから結婚をして当時小さいお子さんがおられた某有名漫才師のボケ担当の方がTVで
「オレ、嫁に止められてて子供にチューできへんねん。かわいいねんけどなあ。」
「なんか虫歯がうつるって言われてさあ。。。」
という言葉を耳にしました。

3歳までにミュータンス菌が口腔内に入らなければ虫歯にならない。

この言葉が独り歩きしていて肝心なことが伝わっていないように思われます。

確かに生まれたての赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はほぼいません。
ですが日常生活をしている以上口の中に菌が全く入らない状況を作ることは皆無です。
特に赤ちゃんはいろんなところをベタベタ触ってそのまま手を口になかに入れたりとやりたい放題です。

もちろんその時の多種雑多な菌の中に虫歯菌と言われるミュータンス菌があります。

ミュータンス菌は生後19カ月から口になかに住み始め31カ月で全体の約75%になります

Initial acquisition of mutans streptococci by infants: evidence for a discrete window of infectivity
P W Caufield 1, G R Cutter, A P Dasanayake

この感染をしやすい時期がいわゆる感染の窓
と呼ばれる時期です。
この時期を過ぎるとミュータンス菌以外の菌が増殖・定着をするので虫歯予防にもつながります。

Primary oral infection of infants with Streptococcus mutans
R.J.BerkowitzJ.TurnerP.Green

なので虫歯予防の第一歩として

食べ物の口移しや噛み与えをしない
お箸やスプーンの共有はしない
キスをしない

こういったことが言われていましたが

このコロナウイルスでもそうですが、口の中に入ったらもうその瞬間から感染するのでしょうか?

感染とは侵入・定着・増殖(寄生)の三つがあって初めて感染となります。
ただ侵入しただけでは汚染といいます。
感染の基礎知識
感染

つまり食器の共有やキスはあくまでも感染における侵入だけにあたります。

ミュータンス菌が侵入しただけでは虫歯ができません。

細菌も生物なので栄養素が必要です。
そしてその虫歯菌の栄養になるのが砂糖(ショ糖)です。
砂糖がなければ虫歯菌が侵入しても定着や増殖をしないので虫歯になるとは限りません。

ですので虫歯にさせない・なりにくくするためには間食や飲み物が重要と言われています。

さらに言えば、虫歯菌の侵入の機会を減らすためにはご家族全員(特に母親)の虫歯の治療や歯のクリーニングが重要なのでご家族の協力も必要と考えます。

また、このような研究結果もあります。

3歳まで甘いお菓子をあげず、それ以降は節度を持って与える
このテーマを0歳から行ったグループと5歳から途中参加したグループの7歳児のミュータンス菌の結果を比べると

0歳からスタートした子供たちは母親のミュータンス菌の多少にかかわらず少ないものでしたが
途中参加のグループは母親の菌数が多いとすべて子供も菌数が多くなった

このことから虫歯菌の侵入だけでなくやはりそのエサとなる糖質も重要と考えられます。

参考文献
世界最強の保健指導
岡崎好秀

ママになった歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士が伝えたい! 食育とむし歯予防の本
神山 ゆみ子 (著), 今村 幸恵 (著), 鈴木 和子 (著), 今村 智之 (著), 丸森 英史 (監修)

たった数年、されど数年

この数年でその子の歯の人生が変わるといっても過言ではないかもしれません。

ご質問等あればいつでもお尋ねください。

水野歯科クリニック
院長 水野敦之